saizensen2026に参加した¶
参加したイベント¶
2026年7月31日に開催された「saizensen2026」に参加した。
イベントURL: saizensen2026.com
テーマ: AIカンパニーと長崎DXのsaizensen
長崎でAIやDXに取り組む企業や団体のセッションが詰まったイベントだった。 会場の熱気を感じつつ、現場で起きている変化やこれからの働き方について考える時間になった。
人の価値と「言語化」の重要性¶
前半のセッションで共通して出てきたテーマは「言語化」だった。
西海クリエイティブカンパニーの宮里氏の講演では、AI時代における「人の価値」の変化についての話があった。 中間工程の価値が下がり、上流(定義や問いを考えること)と下流(現場で責任を取り切ること)に価値が極端に寄っていくという。 現場の課題には、すでに言語化されているもの、認知されているが言語化されていないもの、認知すらされていないものの3段階がある。 その中で、言語化されていない課題を掘り起こすことの重要性が語られていた。
また、ヒューマングループの内海氏の講演でも「言語化」がキーワードになっていた。 言った言わないをなくすためにテキスト化を大事にしてきた文化が、結果としてAIへの対応力につながったという。 空気依存や俗人化を排除し、情報が動線に流れる仕組みを作ることがDXであり、IT導入そのものが目的ではないという話に納得した。
AIフレンドリー(AIが理解しやすい状態)にしていくことは、これからの前提になると思う。 ただ、その前段階として人間同士が「言語化」して「共通認識」を持つことが、一番土台になる部分だと感じた。
風土づくりと「Skill」的思考¶
HIGUCHI Groupの楠本氏の講演では、パチンコのまるみつにおけるAIトランスフォーメーションの事例が紹介された。
ツールを導入する前に、まずは「風土」を耕すこと。 トップダウンで強制するのではなく、手挙げ制でやりたい人から火をつけるアプローチを取っていた。 ガイドラインなどの小難しい資料を漫画化して読んでもらうといった工夫も面白かった。
一方で、研修を行っても「成果の実感がない」「実際の業務に結びつくイメージが持てない」といったリアルな悩みに直面し、研修主体から実績づくりへとシフトしているという話もあった。
暗黙知になりがちな業務手順やノウハウを、AIでいう Skill のように構造化・可視化して共有しておくことは、これからの組織にとって大きな武器になると思う。 ただし、それを使う現場の風土や「やりたい」という意欲がなければ、ツールやSkillだけがあっても回らないのだと感じた。
「関係性のデザイン」と現場の泥臭さ¶
後半のセッションでは、MiSERUの一橋氏による超上流BPRの話があった。 業務改善(今のやり方の延長)とBPR(ゼロベースでの作り直し)の違いについて触れ、ツール導入ではなく「関係性のデザイン」が重要だと語られていた。 部門間のキーマンづくりや安全基地、1対1の対話といった泥臭い調整が現場の改革には不可欠だという。
また、十八親和銀行の井川氏の講演では、銀行におけるAIエージェント活用やアジャイル体制、データ利活用の取り組みが紹介された。 数年後にはAIが自律的に思考・提案する社会が来る見込みの中で、変化を受け入れ、AIエージェントと共存できる組織になる必要性が語られていた。
綺麗事と現場のリアル¶
今回のセッションを通して印象的だったのは、どの登壇者も素晴らしい実績の裏で「泥臭い課題」と向き合い続けていることだった。
自分自身の関わっている環境を振り返っても、業務手順の可視化や「タスク管理周り」のデジタル化など、やったほうがいいと分かっていてもとにかく「面倒くさい」と感じる場面が多い。
イベントで華やかな事例を聞くと、何か魔法のような解決策があるのではないかと思ってしまいがちだ。 しかし、その泥臭い「面倒くささ」を一飛びで解決してくれる銀の弾丸(魔法のツール)はない。
AIフレンドリーな共通認識や Skill を作っていくことは目指したい。 けれど、綺麗事ばかりではなく、この日常の「面倒くささ」とどう向き合い、泥臭く一つずつ可視化を進めていくか。 それこそが現場でAIやDXと付き合っていく本当のテーマなのだと思う。